2026年2月12日
DD54の液体変速機は、爪クラッチを使った特殊なもの、との記載がありますが、この爪クラッチのことが知りたく、昨日県立と図書館で調べてみました。ところが、こういう機構部品の解説書って、無いんですね。液体変速機(それも乗用車用)の解説書なら、あります。また乗用車用トランスミッションの解説書も、あります。ところが、クラッチの解説書は産業用の電磁クラッチだけで、大型機械のクラッチはおろか、自動車用クラッチの解説書さえありません。まあ、自動車用クラッチは、整備マニュアルを探せばでてくるでしょうけど。
爪クラッチは、一般にはかみ合いクラッチと呼ばれています。自動車には、まず使われていません。ところが大型のクラッチは、乗り物では船で使われているんですね。自衛艦も含む軍艦ではガスタービン駆動が多く、大抵は2台を組み合わせ、COGAGとか、COGOGとかと言った組み合わせで使われています。低速用と高速用と2台のガスタービンを持っており、切り替えて使うのがCOGOG、高速時は2台を使うのがCOGAGです。ディーゼルエンジンとの組み合わせ(CODOGやCODAG)もあります。
こういう軍艦の主機だと、馬力換算で何万馬力なんですね。これは普通の摩擦クラッチは使えません。摩擦クラッチが使えるのはせいぜい500馬力で、機関車だとDD13(片側500馬力)までです。1000馬力級のDML61Zの自動変速機はクラッチを使わない充排油式です。DD51はクラッチが使えなかったためトルコンの直結段が無く、高速時の燃費が悪かったと聞いています。450馬力級の最近の気動車は直結段が多段ですが、この切替にはクラッチを使っており、摩擦式です。そのため古い車両に乗ると、切り替え時にクラッチがすべる音が聞こえます。
何万馬力のクラッチは噛み合い式ですが、構造はほとんど歯車ですね。DD54のものも「爪クラッチ」と言っていますが、似たような構造でしょう。かみ合いクラッチは、双方の回転速度が一致していないと、繋がりません。この同期を合わせて接続する技術というのが、かみ合いクラッチのもう一つの技術でしょう。なおそのために、かみ合いクラッチだとすべらせながら強引に同期させる、いわゆる半クラッチは使えません。
何万馬力のかみ合いクラッチは、イギリスのSSSクラッチという会社が世界市場ほぼ独占のようです。この会社、「予備品?壊れないものにどうして予備品が必要なんですか」と、かつてのロールス・ロイスのシャフト伝説みたいなことを、ホームページで言っています。
さて、かみ合いクラッチについては理解できましたが、肝心のDD54はどうなっているかというと、ネットに解説がありました。ネットの記事というと虚実織り交ぜどころか、故意に嘘を書いたフェイク記事も多いのですが、まあ今さらDD54の構造解説で嘘を書いても誰も得しないだろうと思うので、信用することにします。解説者が誤解している可能性はありますけど、これは本も同じです。
それによると、DD54のかみ合いクラッチは山形(三角歯)で、ギヤの各速度段、気動車の直結段の切替と同じところで使われています。気動車は摩擦クラッチですから速度の同期が取れなくても強引に合わせられますが、かみ合いクラッチの場合は同期あわせが必要です。その役割をしているのが液体変速機部分で、タービンが主タービンと補助タービンがあって切り替えて使用でき、しかも動力の入切から同期までできるそうです。元文献があって、解説者も半信半疑で解説しているようなのですが、元文献は国鉄の内部資料か一部業界内の資料らしく、外部から伺うのは無理そうです。
と言うわけで、SSSクラッチについては会社のホームページから、DD54の変速機についてはネットからと、今の世の中図書館よりネットの方が情報が多いこともありますね。けれどもネットは万能では無く、古いことやごくごくマイナーなことは、出てきません。一例を挙げれば、我々団塊の世代は昔は「第二次ベビーブーム」と言われていましたが、いつの間にか「第一次」に変わってしまいました。ネットで調べると、そもそも第二次と呼ばれていたことすら出てきません。古い新聞を探っていくとわかると思いますが、そこまでの時間はありません。第一次だろうが第二次だろうが、実害はありませんしね。
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