伸びる音
2022年2月14日
音楽ではなく、音の話です。音楽の音にも関係するので、一応分類は音楽にしています。
20年ほど前、小生は某大学の研究室に顔を出し、減衰しない(しにくい)音作りに首を突っ込んでいました。今でいうところのラインアレイスピーカーの開発で、指向性が強い分距離によって減衰しにくいスピーカーです。これは点音源からの音波は音の強さが距離の2乗に反比例するのに対し、線音源からの音波は距離に反比例する、という原理を応用したものです。距離が2倍になったところでの音の強さは、線音源は点音源の2倍になりますから、離れていても良く聞こえる音になります。
このスピーカーは駅での放送案内が自分のホームにだけ聞こえて隣のホームには聞こえないようにするのが目的だったのですが、新宿駅で実験していたらそのホームの延長線上の代々木駅でも聞こえ、効果が強力すぎてもう少し修正が必要になったと言う話も聞きました。現在は、平面波スピーカーというのもありますね。
実際の楽器でも、「伸びる音」とか、逆に「そば鳴り」ということを聞きます。これは演奏家は認めて音響学者は認めないことらしいのですが、「伸びる音」というものは存在するようです。ホロビッツのピアノの音はよく伸びると言われていて、高木裕氏がホロビッツの愛用しているピアノは高調波成分が多いことを明らかにしています。
理論はともかく高調波成分が多いと音は伸びる(減衰しにくい)と仮定すると、ピアノも演奏法で伸びる音というのも作り出せそうです。反田恭平氏が言っていた、「前の音の響きが残っているうちに次の音を乗せると良く伸びる」というのも、意識的に高調波の多い音を作っているのかもしれません。
ヴァイオリンはどうでしょうか。これは楽器によって伸びる伸びないはかなり差があるようですが、伸びる音というのは楽器自体が線音源になっているのか、それとも高調波が多いのか、どこかの研究者の方に調べてもらいたいところです。ただ謎解きだけで、解明することによるメリットがあまり感じられませんから、やる人はいないでしょうね。
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