最近読んだ本
2024年11月2日
ちょっと変わった本を読んだので、ご報告します。一つ目は鉄道ジャーナル誌に紹介されていたもので、「シークレット・エクスプレス」(真保裕一著、毎日新聞出版)です。サスペンスもので、秘密の燃料を東青森から鍋島まで輸送するというもので、タンクコンテナに偽装した50tの物体(これが何かがシークレット)をコキ200に積み、それが18両。荷重集中防止のために間に空コキ9両を挟んで、EH500が牽引するというものです。まあエンタメとしてどこまで荒唐無稽な設定が許されるかですが、48t積みのコキ200に50tを積むのはまあ許容範囲として、総重量66.9tの貨車が本当に運転できるのか、橋梁は平気か、列車の総重量は1374t、そもそもこれだけの貨物列車が奥羽本線を走れるのか、など、突っ込みどころは満載です。東日本大震災の後タキ1000×20両(1200t)の救援列車が走ったとは言え、タキ1000は満載でも62.2t、軸重も15t台です。このシークレット列車は長さもコキ車換算で23両相当になり、奥羽線で行き違いが出来るのか疑問ですね。そしてテロ行為により信越線が走行不能になり、急遽上越線から山越えです。まあ確かにEH500は抑速機能がありますけどね。それから東海道を走りますが、確か東海道線は静岡あたりで一部架線が低く、交直両用車は走れなかったはずです。
作者の真保裕一氏は、東青森から函館方面行きのディーゼル機関車にひかれた貨物列車が出発した、という描写があることから、鉄道に関する知識はないようです。最後は政官の内幕ものみたいになりますが、サスペンスドラマとしては楽しめます。HD300を「気動車」と呼ぶことは許せないですが。
もう一つは鉄道には関係ない本ですが、「令和の化学者・鷹司耀子の帝都転生」(雨堤俊治著、宝島社文庫)。宝島社文庫の他の本で案内を見て、面白そうと思い探したのですが、図書館になければ本屋にもない。通販で注文しようと思っても「お取り扱いできません」。こうなるとかえって欲しくなり、やっと南米密林で見つけましたが、南米密林の在庫ではなく他の書店からの出品だったので、送料がかかりました。
読んでみると、最近流行の転生もので「幼女戦記」の化学者版という感じなのですが、内容がかなり理系によっているというか、ほとんど有機化学の解説書です。そして見開きページの左側に注釈が載っており、その注釈が解説だけではなく突っ込みもあるので面白いのですが、全体の流れとすると読みづらいです。第9回のネット小説大賞の受賞作だそうですが、ネットでどういう紙面になったのかわからないものの、単行本で下側に注釈があるならともかく、文庫本で注釈を同一ページに入れたのは失敗でしたね。読んだ感じは「こりゃあ、売れんわ」。面白いのですが、これを面白いと思う人間がどのくらいいるか、です。
本題とは全く関係がありませんが、明日からお墓参り(お墓掃除)のために東京に行きます。
« 5回目の第九合唱練習記(9) | トップページ | やってしまった »
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- 小学校区中学校区(2024.12.05)
- 光る君へとマイナー日本史(2024.12.03)
- マイナンバーカードの更新(2024.12.02)
- 岡大の銀杏並木(2024.11.29)
- 平櫛田中美術館(2024.11.24)
コメント