2024年2月21日
昨日、福山であったホール音響についての講演会に行ってきました。会場はリーデンローズ大ホール。講演会と言っても、演奏会付き講演会と言った方が良いかもしれません。
普通の夜のコンサートと同じ19時からなので、行きは普通に行けます。福山までは115系の各駅停車、少し余裕を持って出ましたが、次の各停は213系4連だったので、そっちの方が良かったかもしれません。115系はコイルバネですが、213系は空気バネです。
約1時間で福山着。福山からは循環バス「まわローズ」ですが、右回り(青コース)と左回り(赤コース)とあったのが、右回りだけになっています。岡山の循環バスも左回りがなくなりましたから、右回りの方が好まれるのでしょうか、それとも偶然でしょうか。それはともかく、駅南口の乗り場案内に、「まわローズ青コース10番」と出でていたので、10番乗り場で待っていました。なぜか発車時刻が調べてきたものと違います。ただ経路案内など何もなく、単に「青コース」とだけ出ています。
バスがやってきて乗ったら、なんと福山駅北口行き。北口で止まっていた前のバスに乗り継ぎ、余裕時間を全部食い潰してしまいました。北口も南口も「青コース」と書いてあるのは、紛らわしいです。特に南口発は「循環」ではないので、コース名を変えるべきでしょう。
リーデンローズ前に着きましたが、真っ暗でどこがどこやらさっぱりわかりません。仕方なしに前の人について歩いていたら、ホール入り口に着きました。リーデンローズは、1階入口から階段で上がって、2階が本当のホール入り口になっています。正面に階段がありますが、隅にさりげなくエレベーターもあります。エレベーターは2階客席にも続いているようで、ホワイエまでエスカレーターがあるもののその先は階段しかない岡山シンフォニーホールとは違います。岡山シンフォニーホールの竣工が1991年、リーデンローズが1994年。その差でしょうか?
今日は2階席3階席を閉鎖し、しかも1階席も後方ブロックを着席禁止にして真ん中より前、しかも最前列ブロックは使わないという、こぢんまりした配置です。開演30分前(開場15分後)には着きましたが、すでにほとんどの席が埋まっています。右側隅に空きを見つけ、そこに座りました。
さて今日の演題は「ホール音響」。サントリーホール等世界の名だたるホールの音響設計を手がけた永田音響設計の豊田泰久(とよだではなく、とよたやすひさ)氏が福山市の出身で、現在ふくやま芸術文化財団の理事長のため、豊田氏が手がけたここリーデンローズを舞台に、「響きの実験」をやろうというものです。協力するメンバーが篠崎「まろ」史紀氏率いるN響の弦楽四重奏団。まろ氏が集めたため、全員男性です。(この理由を書くと、長くなる)
まずロンドンとオンラインで結び、藤倉大氏(ロンドン在住)と、藤倉氏が新たに作曲した新チャイムの紹介。開館30年を記念し、開演を告げるチャイムが新しくなりました。そしてオーケストラ(広響と京都市響)福山定期の紹介。今年度中に各3回の計6回ありますが、実は全10回で、あとの4回は地元(福山市と府中市)の中学生を招待するというのがすごい!岡山はこういうのをやっているのだろうか?
次に音響実験です。実はここまでは舞台は講演会モードで、舞台は凹の字に引っ込んでいて、舞台を額縁のように囲む幕があります。そして舞台の左右と奥共に幕です。N響の4人が登場し、まずヴァイオリンの倉冨氏が奥から手前にヴァイオリンを弾きながら歩いてきます。これはこれできれいな音です。そして4人でディヴェルティメント。これはこれで良い音です。そして30分の休息になりますが、舞台では舞台転換、講演会モードから演奏会モードに変わります。まず前方の客席が下がり、椅子を客席の下に引き込みます。これでオーケストラピットになった状態ですが、そのまま上昇して舞台と面一になり、舞台が広くなります。これがフルオーケストラが乗る舞台ですね。その間に幕が上に引き上がり、側面の反射板と天井反射板が降りてきます。側面反射板は降りて下を舞台に留めたところで引き出して側面全体を覆い、天井反射板は降りてきて角度を変え、斜めの位置に納まります。そして後方反射板が降りてきて出来上がり。その間に客席では、壁の中に引いてある遮音カーテンが閉じられます。ここまで約15分というところでしょうか。サントリーホールでグランドピアノが地下に引き込まれるところもすごいと思いましたが、これもまたすごいギミックです。すごいものを見ました
そして後半再開、おなじように倉冨氏がヴァイオリンを弾きながら後方から歩いてきますが、ぐっと豊かな響きです。4人での演奏もさっきとは段違い、客席からどよめきが起きます。反射板がないときの音もきれいなのですが、なんというか、熟成していない生音というか、ボジョレヌーボーと熟成したワインとの違いというか。演奏している方から見ると、反射板がないのは、隣の音が聞こえない、PPが出せない、5つのテクニックのうち2つくらいしか出せない、ということになるそうです。こうやってみると、オーケストラのリハーサルもやはり音響の良いホールでやった方が良いのかなあ。
開場が演奏会モードになったところで、N響の4人のメンバー(Vn1:篠崎史紀、Vn2:倉冨良太、Va:村松龍、Vc:市寛也)でドヴォルザーク作曲弦楽四重奏曲12番「アメリカ」が披露されました。第1楽章の終わりで拍手が来ましたが、リーデンローズにいつも来るお客さんは聞き慣れているはず。今日の客層は、いつのの人と違う人位達が来たみたいですね。第1楽章の終わりで拍手が来るのは、新しい客層を開拓していると言うことです。
第4楽章に入る頃には午後9時を回り、定期バスはありません。オーケストラのコンサートの時は臨時バスが出ますが、休憩時間に確認したところ今日はバスは出ないとのこと、「タクシーをたくさん回してもらうようお願いはしておきましたが」と言っていましたが、タクシーの奪い合いになるのは見えていたので、「アメリカ」が終わったところでアンコールは聞かずに飛び出しました。そしてタクシー乗り場に行きましたが、誰もおらずタクシーもおらず。道路を走っている空車らしいタクシーは、皆駅の方に走っていきます。どうしたものかと思っていたら、次の女性が電話でタクシーを呼んでいました。20分くらいで来るそうです。そうしたら4人目の男性が配車アプリでタクシーを呼び、このタクシーが先に来ました。その男性が「駅まで皆さん乗っていきましょう」と言われたので、ありがたく便乗させてもらいました。電話の分は、キャンセルです。4人で乗って、相乗り3人はそれぞれ割り勘相当分(より少ないと思いますが)を支払い、無事福山駅に到着。その男性は広島まで新幹線で帰る方だったのですが、「リーデンローズは良いホールだけど、この場所だけはなんとかならんものか」と言われたのはすごく納得です。小生もExアプリで新幹線の切符を買い、久しぶりにExカードで新幹線に乗りました。福山駅は在来線改札を通らなければいけないので、Exカードで乗るときは窓口に申し出ないと通れないのはびっくりしました。
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