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2019/12/06

ホロヴイッツ・ピアノの秘密

2019年12月6日

「ホロヴイィッツ・ピアノの秘密 調律師がピアノをプロデュースする」これが正式な書名です。おかげで書名検索しても、なかなか引っかかってくれません。高木裕著、音楽之友社刊です。

この高木裕という人を、小生はうさんくさく思っていました。うさんくさいというか、信用できないというか。「スタインウェイ戦争」を読んでの感想で、実際に会ったことはありませんが。それなのに高木氏の著書をわざわざ借りだしたのは、この本にホロヴイッツのピアノと普通のスタインウェイとの周波数特性の比較が載っている、と言う記事を見たからです。

小生の独断の解釈が多々入っていますが、この本や前作での高木氏の主張は、今のスタインウェイは(かつての)スタインウェイの音がしていない。一方スタインウェイ社の主張は、スタインウェイの純正品以外で修理されたスタインウェイは、もうスタインウェイとは呼べない、と言うものです。どちらも相手陣営を「スタインウェイであってスタインウェイでない」と言っているようなものですね。まあ、高木氏が扱っているヴィンテージ・スタインウェイは、今のスタインウェイとは別会社の製品と言っても良いみたいですが。

そこで論より証拠として出されたのがこの周波数特性比較で、「ホロヴィッツのピアノ」1912年製のCD75と、普通のスタインウェイ1989年製のハンブルグD型との比較です。これで見ると(元のグラフも見てみました)、CD75は高調波成分が多いですね。特に、15KHz以上が顕著です。ハンブルグD型が20KHzあたりが最高なのに対し、48KHz(測定限界)まで伸びています。

音楽家はよく「伸びる音」とか「遠くまで飛ぶ音」という言い方をしますが、千住真理子氏によると、こういう言い方は音響学者からは「そんなものはない」と即否定されるそうですね。しかし「遠くまで飛ぶ音」は確かに存在し、オルゴールを使った実験でも確認できます。この「遠くまで届く音」は、どうやら高調波成分が多い音ほど遠くまで届く、と経験的に言われているようですが、音響工学では否定されているのか、きちんとした理論建てはされていないようです。CD75はppでもホールの奥まで音が届くそうで、高調波成分の多さが関係しているようです。

高木氏には、今度はホールで音の減衰比較試験を是非やってもらいたいものです。

なお余談ですが、ピアノは弦だけではなく楽器全体が鳴っているのに、(おそらく)クラシックに慣れていない録音技術者がマイクをピアノの中に突っ込んで録音するため、自分の出したい音が記録されていないと、泣き出したピアニストがいたそうです。クラシック音楽を扱うテレビ番組で、コンサートホールで収録しているのにマイクをピアノの中に突っ込んでいるものがあり、いつも「あ~あ」と思いながら見ています。

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