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2018/12/07

上水道と平均寿命

2018年12月7日

竹村公太郎著「日本史の謎は地形で解ける・文明文化編」(PHP文庫)を読んでいます。その中に面白いデータがあって、日本人の平均寿命は、明治維新後下がり続けたんですね。その底は大正10年(1921年)で、42.7歳です。そこからV字上昇に転じ、現在まで上がり続けています。

大正10年までの平均寿命が下がり続けた時期、この下がり方と上水道の普及率が、一致しているそうです。つまり、上水道が普及するほど平均寿命が下がる。この平均寿命が下がる原因は乳児死亡率の増加なのですが、上水道が普及するほど、乳児死亡率は増加していった訳です。一般のイメージとは、逆です。

それが乳児死亡率の低下、すなわち平均寿命の上昇に転じたのは、大正10年に東京市(当時)で始まった上水道の塩素殺菌の導入でした。殺菌していない上水道は、国の平均寿命も短くします。

この塩素殺菌の導入というのが、何と毒ガスとして生産を開始した液体塩素が、シベリア出兵の中止・撤退で使い道がなくなり、民生品に転用されたという、ちょっと恐ろしい話です。ただそれで乳児死亡率が劇的に減ったのですから、毒も使いようでは薬になるということですね。これを指示した当時の東京市長は、後藤新平医学博士。彼はその前は、外務大臣でした。後藤新平は肥薩線(当時は鹿児島本線)の開通に名前が出てきますから、てっきり土木関係の出身者だと思っていました。後藤新平はドイツに留学し、コッホ研究所で医学博士号を取得しています。何と、北里柴三郎と並ぶ細菌学のエキスパートでした。

この上水道の塩素殺菌と平均寿命の関係は、もっと水道関係者がアピールすべきですね。特に東京都水道局が。

余談ですがこの液体塩素、昔はタンク車で鉄道を使って運ばれていました。黄色い小型のタンク車でしたが、短い車体にボギー台車を履いており、貨物列車の良いアクセントになっていました。中身の行き先は、各地の水道局だったんですね。

水道の水質は、国の平均寿命まで左右するというお話です。水道民営化法案が可決されました。多分海外の水メジャーの圧力でできた法案なので、これからどうなるのか、心配です。まあ、問題になる頃は小生は生きていませんが。

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