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2017/05/07

新幹線電車の窓ガラス

2017年5月7日

新幹線に限らずJR/国鉄の特急列車の窓ガラスは、2枚のガラスのを間隔を開けて設置する複層ガラスが使われてきました。これは151系「こだま」と20系「あさかぜ」(実際の登場はあさかぜの方が早い)以来で、防音と保温(防熱)製を高めるものです。そしてこれは新幹線0系にも受け継がれました。ところが最近N700系に乗るようになって、どうも窓ガラスが複層でないように感じてきました。ところが先日「新幹線電車の技術の神髄」(望月旭著、交通新聞社)という本を借りてきたら、正体がわかりました。やはりN700系は1枚ガラス(ガラスと言って良いかどうかはわかりませんが)でした。

151回は、5mmの磨きガラス+6mmの空気層+5mmの磨きガラスという複層です。これが新幹線0系になると、熱線吸収ガラス6mm+空気層5mm+強化ガラス6mmになり、ガラス破損事故の多さから1976年に3mm+5mmの合わせガラス+空気層5mm+強化ガラス5mmに変わりました。自動車の前面ガラスに合わせガラスが義務づけされたのが1987年ですから、合わせガラスの採用は10年以上も早いですね。

そしてこの構成の複層ガラスはそのまま使われたのですが、500系から外側の合わせガラスがポリカーボネイトと強化ガラスの貼り合わせに変わりました。このあたりからJR各社の非公開部分が増え、いくらかは推定も入っているそうです。さらにN700系から複層ガラスと同等以上の遮音性を有するポリカーボネイトの1枚ものに変わりました。やっぱりN700系は複層ではなかったんですね。なおポリカーボネイトはガラスより機械加工がやりやすいため、外板と窓ガラス面の外側が面一になるようにしてあります。このあたり、今度新幹線に乗るときにじっくり見てみよう。

なお窓ガラスの特性としては、アクリルの方がポリカーボネイトより優れたところが多いそうですが、アクリルは燃えるために採用できないそうです。戦闘機のキャノピーはアクリルですが、ここに火が着くようなときはもうベイルアウトするしか無い状態なので、問題ないのでしょう。

この本、かなり細かいところまで解説してあり、新幹線の技術はある程度知っていると思っていた小生も、初めて目にすることがたくさんありました。一つ面白かったのは、電動機のトルク発生原理の解説です。これはフレミングの左手の法則による電流と磁界との相互作用と思われがちなのですが、実際には1次側の磁界が2次側の磁界によって乱されるのを正すように力が働くというのです。イメージ的には理解しづらいのですが、実際の電動機で、2次側のコイルにかかる力は遠心力だけで回転トルクはかかっていないことが試験結果からわかっており、この説明が正しいことを裏付けています。

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コメント

いろんなことに造詣が深くてすごいです。
わたしも新幹線で疑問な点があったです。
新幹線っていえば0系って、あんな昔だから制御なんでやっていたのかなあ
なんて思って検索したら、抵抗制御だそうです。そうですよね。サイリスタなんて
なかったし、昭和40年代後半、たかだかいまやちっちゃい3Aサイリスタが当時
TO3型で1K円ちょっとしました。
営団の6K系の試作電車のサイリスタっていくらくらいの値段するんだろう?
なんて考えるとねむれなくなっちゃいますね。
って漫才やっても受けないでしょうかねえ。バキ(^_-)-☆

ひでほさん、ありがとうございます。

0系の1次車の頃はまだサイリスタどころか、ダイオードも標準化されていない時代でしたからねえ。なお抵抗は電制だけで、力行時は変圧器のタップ切り替えです。
小生の卒論は、秋葉でちっちゃなサイリスタを買ってきて(SCRに「サイリスタ」という名前が付いた頃です)、家電品用の直流モーターを回して、その火花を観察しました。ちょうど営団6K系の試作車が出た頃で、同じ研究室で営団6Kと同じDCチョッパでモーターを回してチョッパの通電率によって整流がどう変わるかという研究をやっていました。
昭和40年代の中頃に産業用のインバーターを売る仕事になったのですが、この当時のサイリスタは高かったです。鉄道用のものは産業用より電圧も高く、また電流容量も高かったので、かなり高かったと思います。なお産業用のインバーターには高いサイリスタを保護するためのヒューズが付いていたのですが、そのヒューズの値段がまた高く、サイリスタと大して変わらなかったという、今なら笑える話があります。

いろいろびっくりする話ありがとうございました。卒論で研究されておられたとは専門家でいらっしゃったんですね。小生は卒論はカラー写真の変退色に関する研究で色素を合成してハイポで退色している過程を高速液体クロマトグラフィで追っていく内容です。でも化学苦手ですっかりなにもかも忘れちゃいました。
当時の講師の先生といまでも電話よくします。
小学生のときこうたサイリスタの型番思い出しました。2SF248でTO3型、1Kちょいといいましたがもっと高かったかもです。検索したら、40年前の半導体なのに中国製があるみたいでびっくり。半導体ってすぐディスコンになっちゃうというのにです。TO3型といえば、すげえ安く2N3055というTRがいまでも売っていてパーツ箱にあるんで、たまに利用しますが、ネットの掲示板をみると中国製のまがいものは、規格の半分で放熱してても飛んだり悪評ばかり。ゲルマニウムTRのころのサイリスタがまだあって仰天です。そんな時代の鉄道の高圧大電流サイリスタ。すごいですね。

ひでほさんは色がご専門でしたか。どうりで。
小生が卒論をやっていた頃DCチョッパをやっていた先輩(当時大学院生)、別の大学に移られて、世界的なブラシの権威です。最も狭い範囲ですから、知る人ぞ知る、ですが。
小生が卒論で秋葉にサイリスタを買いに行ったとき、教授から「定格電流の半分くらいしか使えないから」と言われ、所用電流の倍の容量の物を買いました。卒論がしばらく取ってあったのでそれを見ると型番がわかったのですが、引っ越しの時の大整理で処分しました。
インバーターを売っていたときの会社では、その前の設計時代でも試作をやるには図面を書いて依頼書書いて、でしたから、自分では手は出せませんでした。自分でトランジスタを触るようになったのは会社を変わってからですね。

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