« 地域丸ごとの周波数移行は、現実的か? | トップページ | 京都経由備中高梁行き(1) »

2011/04/24

発電機の話

2011年4月24日

電力不足の話の続きで、発電機です。
発電機を設置してあるビルも増えていますが、この発電機、常用発電機と非常用発電機では、まるで違います。
まず非常用発電機ですが、これは非常時専用です。あくまでも停電時に避難する間だけ照明やエレベーターを動かすという考えですから、長くは使えません。消防法の規定によると起動(電源投入)までの時間が40秒以内ですが、運転可能な時間は60分です。これ以上運転すると、オーバーヒートを起こします。いわばワンポイントリリーフ専門のピッチャーみたいなもので、ウォーミングアップはほとんどなしで投げられますが、対するバッターは一人か二人と言ったところです。

非常用発電機も負荷を絞れば長時間運転ができますが、元々各部の構造が長時間運転に耐えられない構造なので、たとえば川崎重工製のガスタービン発電機は、1000時間運転でオーバーホールの必要が出てきます。この震災時には非常用発電機を無理して長時間運転したところが多数あったようですが、そのために現在はオーバーホール待ちとなり、使用できなくなっているところが多いのでないでしょうか。

常用発電機は、単独運転のものと、系統連携型のものがあります。単独運転は工事用の電源のようにどこかで独立して使えますが、電力会社の線と協調して運転することはできない構造のものです。これを会社などで使おうとすると、停電したときは停電した状態で発電機に切り替え、復電したときも一旦電気を止めて電力会社の線に切り替えます。何でこうしなければいけないかは、後で述べます。

実は震災の後、この発電機をかなり真剣に探しました。可搬式と言われる範疇でも、700KVAまではあります。700KVAと言えばエンジンは1000馬力級で、ブルートレインの電源車「カニ21」と同じ出力です(カニ21は、500馬力級×2台)。JRからカニの休車を借りてくれば何とかなったのですが(笑)、残念ながらカニはすべて60Hzです。このクラスの発電機を実際に工場入れようとすると、騒音対策、燃料保管場所及び危険物取り扱い責任者の申請等、面倒な手間が多数あります。結局設置場所の確保が難しくて止めたのですが、メーカーには注文が殺到していましたので、新規に設置されたところも多いでしょう。

系統連携型は、電力会社の線にぶら下がってその発電機の能力分を発電する方法で、ほとんどのものが電力会社の電気がないと運転できない構造になっています。現在の太陽光発電のほとんどがそうで、家庭用燃料電池の「エネファーム」もそうです。つまり停電の時には、役に立たないわけです。何で単独運転ができないかというと、そうすると機構が複雑になり、コストが上がるからです。

系統連携専用の発電機は、いわば合唱の後で歌っているようなもので、難しいところはすっ飛ばしても何とかなります。実際の発電機でも、周波数精度の維持や負荷変動への対応などはほとんど電力会社の方がやってくれています。それがいきなり無伴奏でソロをやれと言われても、できる人は限られます。またもっと難しいのは復電したときで、系統の周波数と位相にぴったり合わせて同期投入する必要があります。カラオケでたとえれば、カラオケの演奏がいきなり聞こえなくなってもそのまま無伴奏で歌い続け、演奏が戻ったときにリズム音程ともぴったり合っていること。これができるのは、相当にうまい人です。発電機でい言えば、それなりに金をかけないと、できません。演奏に切れ目があればそこで合わせられますので、単独運転の発電機で切り替えの時に一旦電気を止めるのは、まさにこれです。

幸いこの夏は計画停電にはならず節電だけのようで、そうなるとエネファームなど系統連携専用の発電機でも、十分に効果を発揮します。

« 地域丸ごとの周波数移行は、現実的か? | トップページ | 京都経由備中高梁行き(1) »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/97180/51481518

この記事へのトラックバック一覧です: 発電機の話:

« 地域丸ごとの周波数移行は、現実的か? | トップページ | 京都経由備中高梁行き(1) »

フォト
2017年10月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        

最近のトラックバック

無料ブログはココログ