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2007/12/29

「全員一律救済」という言い方は、おかしい

2007年12月29日

記事を読む度に違和感が募ってくる薬害C型肝炎訴訟の記事ですが、「何か違う」と感じているまま年を越すのも気持ちが悪いので、自分の頭を整理するためまとめてみました。

○「全員」:この訴訟/和解案で出てくる全員とは、「フィブリノゲン製剤」「第9因子製剤」の血液製剤を投与され、しかもそれが書面で証明された方に限定しての全員です。まさかとは思っていましたが、今日(12月29日付)の朝日新聞に、この「全員」というのをC型肝炎患者全員と誤解した人の話が出てきました。同じ新聞にB型C型肝炎患者全体と、今回の「救済」が適用される対象者のピラミッドの図が書いてありましたが、まさに今回の「全員」は氷山の一角でしかありません。現在使われている「全員一律救済」という表現は、誤解を招きます。いや、あえて誤解を生じさせ、氷山の一角だけ片付けて後をうやむやにしてしまおうという深謀遠慮なのかもしれません。

○「救済」:救済といっても、見舞金(もしくは補償金)が出るだけです。それで病気が治るわけではありません。お金が無くて治療を断念していた方には朗報でしょうが、それでも「救済」という表現にはほど遠いと思います。

○感染の責任と治療の責任は別問題:小生の持論です。薬を使っての感染は、確かに国の責任があったでしょう。だけどその後C型肝炎に感染しているとわかってからは、治療についての責任は患者当人にあります。確かにこの病気、治療をすれば確実に治るわけでもなく、いろんな手を講じても悪化していくことも確かにあります。しかし、放置すれば確実に悪くなります。治療はIFNだけではなく次の手もいろいろあるのですが、報道されるのは放置例ばかりです。これでは、C型肝炎の治療全体について誤解を招きます。

アメリカの航空機事故調査はその発生責任を追及せず、事故原因の調査とその再発防止に力点が置かれています。日本はその逆で、すぐ「犯人」探しをしたがります。補償も同様、日本では「原因者は不明だが救済する」といった無過失救済制度がなかなかなじみません。今回の「全員一律救済」が、救済範囲をB型C型肝炎患者全体の無過失救済に行かないようにするための隠れ蓑でないことを、切に願います。国の本当の責任は、C型肝炎を「特定疾患」に認定しなかった(都はそれを止めてしまった)ことではないでしょうか。

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昨日が仕事納めで、今日は「終わった!終わった!」というような脳天気な話を書くつもりでした。なかなか思い通りには行かないものです。

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C型肝炎治療記」カテゴリの記事

コメント

この件が頭をグルグルして、なんだか気分が悪くて仕方ありません。思わず本館を再開してしまいました(笑) 南海さんのように理論的にきちんと書いてないのが私らしいですが・・。
全然「全員」じゃないんですよね、フィブリノゲン投与された人の中でさえ・・。
わざと「全員」と書いているような気がしていますが・・。

素朴な疑問なのですが、治療をされた方の報道も勿論見たことがあるのですが、治療されていない方はどれくらいの率でいらっしゃるんでしょうかね。進行が早くて亡くなられた方は勿論悔しくて悔しくて・・でしょうが、この方たち以外にはも、治療をしてもそういう悔しい思いをしている方は大勢いらっしゃる・・。
もっともっと実態を私は知らなければいけないと感じています。

コメントありがとうございます。

>miyaさん
いやあ、miyaさんの本音は全くその通りです。小生もこのC型肝炎のためにいろいろ犠牲にしたのは確かですね。
今回の原告の方のブログを時々覗いているのですが、その方は医薬品全体(つまり、IFNも)に対する不信感から、治療をされていないようです。なおこの方は、「全員とは350万人のことだ!」と主張されています。原告団でも一人一人の考えは、違うでしょうね。

今日も真っ向からの正論ですね。
何となく分かっている様で分からなかったのが理解できました。
いずれにしても、原告の方達が報われて良かったです。
肝炎の事が世の中に多少は理解されたかなと思うのは、ちょっと甘いでしょうね。
先日の茅ヶ崎市のCウイルス感染の報道で
「感染者はインターフェロン等の治療を受けている」と報道されてましたが、これではもう問題は解決したと思われそうです。
私レベルの能天気な友人たちを、せいぜい啓蒙しなければと思います。
世の中の主婦たちにとっては最も忙しい時期ですが、主婦休業中の私はのんびり悪くない年の瀬です。
南海さんにはお目にかかれたし、お顔を思い浮かべながらお話しをしている様な気がします。いろいろと有り難うございました。
どうか良いお年をお迎え下さい。

はじめまして。
ほんとにその通りだと思います。
肝炎について、「これで一件落着」ということを印象付けてしまったら困ります。
12/29の読売新聞では「今回の合意での一律救済が想定される患者は最大千人程度。B型も含め350万人とも言われる肝炎患者・感染者からするとごく一部にしか過ぎない。これを機に今後別の血液製剤、輸血、予防接種の注射器使いまわしによる感染などの感染者の救済が問題になる可能性がある。肝炎患者は「医原病の被害者」という側面があるからだ。」とありまして、そこのところを強く言い続けてほしいなあと思いました。
あとIFNの医療費助成についてもB型を中心にIFNでは効果のない患者も多い、とも書かれてました。
私自身IFNできないので他の方法での治療なのでもっと医療の進歩を願っています。

昨日までお仕事でしたか、お疲れ様でした。そうなんですよね。この線引きと全員救済ということばすごーく引っかかります。
でも、この訴訟のおかげで、新しい予算案ができ、肝炎治療に対する補助に結びついたわけで・・・。
すごい複雑な感じがするなぁ。

>meeさん
脳天気な話を考えていたんですが、真っ向からの話になってしまいました(^_^;。IFNは「特効薬」と言っても、1年以上の治療をしてやっと半分ですからね。なかなか理解は得られにくいです。
今年は岡山のドラ2が帰省してきたため、カミさんが主婦に復活しています。
無理をせずに、良いお年を!

>ロベリアさん
いらっしゃいませ!新聞(朝日新聞もそうでした)に350万人の医療費補填について言及してあるのも、この薬害肝炎訴訟が話題になっている今だけかもしれません。このまま「一件落着」(どうも政府はそうしたがっているようにも見えます)にならないよう、見続けなければいけませんね。ただ医療費補填もIFNに限定されそうな気配です。B型も含めIFNが使えない/効果がない人は多いので、限定されると困る方も多いでしょう。

>ばんばんさん
ばんばんさん所もいろいろ情報を載せていただいているので、勉強させてもらっています。その一人あたりの金額(修正後)の少なさと、今回の補償金(?)の金額を見比べ、複雑な思いになっています。

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