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2005/09/18

僧帽弁逆流について

2005年9月18日

僧帽弁逆流について、ちょっとまとめます。小生はまだ勉強中で解説できるほどの知識もないので、これは自分のまとめと思ってお読み下さい。

心臓は、設備屋的な言い方をすれば、2連の往復動ポンプです。往復動ポンプですから各ポンプに吸い込み側と吐き出し側と弁が2つずつあり、全体では4つの弁があります。弁の病気としては、「開かない」か「閉じない」かの2つで、組み合わせてしては、心臓全体で弁の病気は8種類あることになります。複数の障害が同時に起こることもあります。小生の病気はその中で、左側の吸い込み側の弁が閉じない、僧帽弁閉鎖不全という病気です。閉じないと言っても弁が全く動かないわけではなく、完全には閉じ切れていない状態で、その程度は年々進行していきます。

吸い込み側の弁が閉じきれないと、ポンプの容積の定量を吸い込みますが、吐き出すときにはその数割しか吐き出されず、残りは吸い込んだ方に逆流します。そのため病名は僧帽弁閉鎖不全ですが、症状として僧帽弁逆流という言い方もします。
逆流が起こると、身体が必要とする血液量が供給されないのですが、心臓はその分をカバーするように大きくなり、必要量を確保しようとします。そのため、僧帽弁逆流はなかなか自覚症状の出てこない病気です。

僧帽弁で起こった逆流を心臓が自分でカバーして必要量を確保するので、それでうまくいきそうですが、言わば現場で勝手にボアアップの改造をするようなもので、必ず動力系(心筋)に無理が来ます。無理して動力系が止まればそれこそ命取りになり、僧帽弁逆流で怖いのは逆流自体ではなく、その無理によって引き起こされる心筋梗塞などの心筋の病気です。アメリカなどでは自覚症状が出る前に手術を勧めるのは、心臓全体に被害が広がる前に対策を打とうという考え方です。

心臓は肝臓などの化学工場と違い所詮ポンプですから、病気(障害)はおおざっぱに分けて動力系(心筋=狭心症や心筋梗塞など)、機械系(弁関係=心臓弁膜症など)、及び制御系(信号伝達=不整脈など)の3つになります。動力系と制御系の病気には内科治療も可能なのですが、機械系の心臓弁膜症の内科治療は弁膜症によって引き起こされる二次的症状の改善にしか使えず、弁膜症本体の治療には外科手術しかありません。今までのような数ヶ月に渡ってGOTやGPTの推移を見る治療ではなく、切った張った(貼った)の一発勝負になります。

さて弁が故障しているわけですから、その修理は局部修理か交換のどちらかになります。心臓の弁も、弁修復か交換かのどちらかになります。幸い僧帽弁は弁修復が可能ですが、破損がひどかったり、あるいは石灰化が進んでいたりすると、弁修復が不可能で弁交換になります。弁交換には生体弁と機械弁の2種類があり(細かく分けるともっとあるようです)、それぞれ一長一短があります。
生体弁は交換すればあとのメンテナンスは不要なのですが耐久性が悪く、約10年で再手術の必要があります。なお心臓の手術は回数を重ねるごとにリスクが大きくなってくるようで、3回目の手術は普通避けます。そのため生体弁の2回目の手術の時には機械弁に切り替えるのが普通のようです。
機械弁は半永久的に持つと言われています。その代わり交換後は一生抗凝血薬(ワーファリンなど)を飲む必要があります。そのため、出血が止まりにくいなどの影響も出てきます。これから出産を考えた女性は再手術を承知の上で生体弁を選択されるのは、この抗凝血薬の影響を考えてのことです。また半永久的と言っても機械部品ですから、数十年にわたる長期使用では故障することもあり、その場合は再交換になります。弁交換手術の場合は手術時期をぎりぎりまで遅らせるのは、この弁の寿命を考えてのことです。

何とかまとまったかな。

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コメント

設備屋の私。こういう文章よく理解できます。衛生管理や救命講習で勉強した事は直ぐ忘れちゃうんですけどね。機械に置き換えるとよくわかる。仕事が染み付いてるんですかね。

私は設備屋じゃないけど、素晴らしい文章力なのでよーく理解できました(と思います)。

祖母も結局、誤診断をされた末、弁が悪かった、とか言っていたので、もしかして同じでしょうか?
ここ数年はワーファリンを飲んでいるので、すっかり調子がよいようです。ビタミンKを取ってはいけないので、会う度に、納豆が食べれないことだけが残念、と言っています。

患者の立場でも、南海 凡吉さんくらいの理解力を持って治療に臨めば理想的だ思います。

コメントありがとうございます。

>渡邊さん
自分で納得するような説明を考えたら、こういう設備屋の説明になってしまいました。今は離れましたが長年設備屋をやっていると、腰を痛めて足の先が痛い説明にセンサの配線を持ち出すとか、こういう説明になりますね。

>kay1さん
ワーファリンをお飲みということは、機械弁ですね。弁交換になるのはたいてい閉鎖不全で、しかも閉鎖不全の中で一番ポピュラーなのは僧帽弁ですから、同じ病気かも知れません。
小生は自分では変わり者だと思っていましたが、病気に関してはC型肝炎の1bタイプといい、心臓病の僧帽弁といい、一番多数派の分類にいます。

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